第3回  防災を便利で楽しく~心地よく暮らし、備える~

FM サルース FM しながわ「FDK presents ソナエル radio 」パーソナリティ
木村 知世子

近年は自然災害に対するリスクが高まってきており、今後30年間に首都直下型地震が発生する確率は70%と算出されています。また気象も極端化していると言われていて、線状降水帯による長時間にわたる豪雨にも注目が集まっています。このような自然災害に対しての備えのヒントはふだんの暮らしの中にあります。

その一つは、「ローリングストック」という考え方です。これは、非常用のためだけの食材や生活用品を備蓄するのではなく、普段使いの食材・生活用品を少し多めに買っておき、使った分を新しく買い足すことで、常に一定量の食料や生活用品を家に備蓄しておく、循環型の備蓄方法をいいます。ローリングストックは、買い物の機会を減らして便利に暮らす知恵としても役立ちます。

また、アウトドア用品のテントやランタンなども災害時には防災グッズとして使えますので、日常と災害時の垣根を低くして、普段使っているものがそのまま災害時にも活用できる、という考え方が大事です。

最近は、コロナ禍を機に働き方が多様化し、在宅勤務になり自宅周辺で過ごす時間が増えた人も多いかと思います。私もその一人で、平日日中の自宅周辺の様子を改めて知る機会を得ました。このような背景からも、これまで以上に地域と繋がりを持ち、地域の人との関係性を構築する場が求められてきています。私たち一人ひとりが、地域や人と繋がることで日々の暮らしが豊かになり、「共助」の力を高めることになり、ひいては災害時に多くの命を守れることに繋がるのではないでしょうか。

そして、これからの「防災」は、非日常にあるリスクへの投資ではなく、日常生活の知恵であり、便利なものであり、家族や地域でのコミュニケーションの機会を増やし楽しむものである、ということを誰もが当たり前に思い実践する時を迎えていると思います。

災害時への物資的な備えだけではなく、自身と他者との関係性を編み直すことにより、末来思考の新しい備えの社会全体のストーリーを創造していきたいと考えています。

【木村 知世子 ・プロフィール】

FM
サルース FM しながわ「 FDK presents ソナエル radio 」パーソナリティ。毎回テーマを設けて、難しく考えてしまいがちな「防災」を身近な話題として、誰もが取り入れやすく役に立つ情報を発信している。また、立教大学社会デザイン研究所研究員として、 女性の視点や当事者の語りから背景にある社会を見つめ直し、「語り 物語」による越境と社会創発プログラムを開発、防災分野への社会実装を目指している。