第23回 「真実を知ること≫~映画『生きる』大川小学校からの学び」

一般財団法人防災教育推進協会
事務局長補佐 岡部 純子

昨年春の防災士研修で大川小学校の事を知り、居ても立っても居られない気持ちになった。「なぜ?」あんなにたくさんの子供たちが学校で命を落とさねばならなかったのか。

自宅に帰り、ネット情報を集める中で、この大川小学校のドキュメンタリー映画の試写会が大川小学校のある石巻で上映され、その後、小学校でご遺族による語り部も聞けるというので飛びついた。

私の3.11は福岡だった。その頃、旅行会社に勤務していた。会社で打合せをしている時に携帯の緊急速報が鳴ったが打合せはそのまま続いた。その後、自宅に帰りテレビをつけた。なんかおかしい。すごい映像が流れてきた。

それは・・スローモーションのように私の目に飛び込んできたのも束の間、同時に会社から電話があり、お客様対応に追われることとなった。

東京の空港が機能していない模様。阪神・淡路大震災が脳裏をよぎる。震災後は被害報道ばかりで仕事や子育てを理由に目を背けてしまっていた。

その後一度も東北に足を運ばなかった。そんな私が、なぜこのタイミングで引き寄せられるように映画を観ようと思ったのか不思議な出来事だった。

寺田監督は舞台挨拶で、「この映画を観た方それぞれの受け止め方が違うと思う」と話されていた。まず私は上映が始まり、ご遺族が語られたひとことひとことが、ぶわーっと私の身体の中にしみ込んできた。行政の嘘や隠ぺい。ご遺族はわが子の最後の場所での「真実」を知るために声を上げ、やがて勝訴となるというご遺族が撮影してきた約10年のドキュメンタリーだった。ずっと涙が止まらなかった。愛するわが子の最後の真実を探すために勇気を出して臨まれた裁判。私は石巻に辿り着くまで10年も経ってしまった事を後悔した。私もちゃんとおかしいと思うことに声を上げていかなければ。

現在、防災教育推進協会に所属して教育関係の方にも多く接しているが、「防災活動」は義務感では務まらないことを強く感じる。私自身もまだまだ勉強中だが、ちゃんと自発的に自分の言葉で「防災の大切さ」を伝えていけるようになりたい。この映画は教育者の方だけでなく、たくさんの人に観ていただき、いろいろと感じてほしいと願う。

★映画「生きる」全国で公開中

映画『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』公式WEBサイト

https://ikiru-okawafilm.com/

【岡部純子・プロフィール】

防災教育推進協会事務局長補佐。JTBでの30年の経験を活かし、こころトラベルカウンセラーとして新会社「くじらコミュニケーションズ」を設立する。旅の力で人の心を元気にする研究を進めている。一児の母。