第21回 「備えいらずの防災レシピ~『食』で実践フェーズフリー~」

株式会社WA・ON代表取締役
飯田 和子

日常の延長線上でいつ発生するかわからない災害に対し、どんな備えをしていますか?いざ備蓄したものを食べようとしても、缶切りが無くて開けられないとか、作り方がよく分からないなどということはありませんか?

もしもの時、いつもの食べ慣れた食材を使って手軽に美味しい料理をつくれたら、不安が増幅していく心もどんなに勇気づけられるでしょうか。私は、いつでもしっかり食べることを可能にする『備えいらずの防災レシピ』を提案しています。

「災害時に向けて備えない」けれど何も準備しないというのではなく、日常と非常時のフェーズ(時期、状態)を取り払った『食』の考え方を身につけることで、結果的に「いつのまにか備わった状態になる」ことを目指します。離乳食や介護食にも応用でき、時間短縮、資源の有効利用などプラスの価値も持ちます。伝統的な食文化である和食は、だしや乾物、味噌に代表される発酵食品など日本人には馴染みの深い食べ慣れた味で、かつ長期保存しやすい備蓄力があります。その和食をベースにして、たんぱく質の補給のため乾物をLL牛乳や豆乳で戻したり、高野豆腐やきな粉、煎り豆も積極的に利用したりするなど工夫しています。

手法としては衛生面にメリットのあるポリ袋クッキングが中心です。耐熱ポリ袋ならごはんやお粥が炊け、ひと鍋で何品も同時に調理できるので、平常時のアウトドアにも応用できます。また、フェーズフリーの考え方は災害時だけでなく「家庭内のもしも」とも言うべき家族の急な病気やケガの発生時にも役立ちます。お子様ひとりでも作れる簡単なレシピが基本です。

もちろん、一般的な災害食を備蓄することも大切ですが、もったいないからと全てを長期間備蓄したままにするのではなく、使い方や味を確かめ、いざという時のために経験値をアップしておきましょう。さあ、ご自身の生活に合った食材をローリングストックすることを平時から考えてみましょう。

参考:WA・ON

https://www.waon-co.jp/

『備えいらずの防災レシピ』 東京法令出版

【飯田和子・プロフィール】

栄養士、調理師、国際薬膳師、(一社)日本災害食学会災害食専門員、(株)WA・ON代表取締役。著書『備えいらずの防災レシピ』(東京法令出版)。災害食はもとより、身近で手に入れやすい食材を使う薬膳も提案。幅広い層に向けて、いつもももしもも美味しく身体のためになる食育を全国で展開。レシピ提案や商品開発はもちろん、コーディネートや撮影も自ら手掛け、動画でも発信するなど食分野全般のフェーズフリーな活動をする。