アスプラウト株式会社
代表取締役 喜多村建代
皆さん「感震ブレーカー」ってご存じですか?
震度5強以上の揺れを感知した際にブレーカーを落として通電を遮断する装置です。
これは震災直後の電気火災や復旧時の通電火災、どちらにも有効とされますが、認知度が低く義務化もされません。
震災時火災で有名な27年前1月17日早朝に起こった阪神・淡路大震災。
あの時代にオール電化は殆どなく、調理器具はガス、暖房器具も灯油やガスが主流でしたが、実はあの火災原因の6割以上が電気による火災でした。
発火源が電気、それがガスや灯油という栄養を貰い、消火が追い付かず広域火災へと発展しました。その後の数々の大地震による火災原因も大半は電気です。
火災は命や財産だけでなく、思い出も燃やし尽くしてしまいます。自然災害を防ぐ事は出来ませんが、自然災害に加わる事で被害を大きくしてしまう火災は皆さん一人一人が防げることではないでしょうか?
特に集合住宅や木造住宅密集地域は、1件からの出火により、多くの被害者を生む危険性がある為、全体での導入に取り組む事を望みます。
今年5月に改訂された東京都首都直下型地震被害想定にも、感震ブレーカー普及の有効性について記載部分があり、現在の普及率(8.3%)では、震災時火災だけで2,500名の死亡者が予想され、普及が50%に増えるだけで、初期消火が9割可能となり、被害を1割程度、死亡者を300名まで減らせると発表されました。これが60%、70%と増えれば初期消火が100%可能となり、もっと犠牲者を減らす事ができると私は考えます。
皆さんがご自身の住まいを火災から守る事で、多くの命も思い出も守られますし、場合によっては在宅避難も可能となるのではないでしょうか?
【喜多村建代・プロフィール】
現職の他に一般社団法人住環境創造研究所企画広報部長、国際標準事態対処医療講習修了(国際資格救命特技者)、PET FIRST AID(国際動物救命)認定を務める。
災害前後に関わる業種とチームを作り、プロフェッショナル目線だけでなく、素人・女性・母親・主婦目線を加え、災害対策日常化と停電対策、感震ブレーカーの普及に力を入れる。