第16回 「いつかやろう」から「今やろう」にするために

歌う防災士しほママ
柳原 志保

はじめまして。
熊本県在住で「歌う防災士しほママ」として忘災啓発活動をしている柳原志保です。
歌や体操などを用いて、どんな立場の人でも取り組める備えを、講演やイベント、メディアなどいろいろな入口から伝えています。災害といういつくるかわからない事への備えを、どうやったら人は行動してくれるか?知恵をしぼる毎日です。

◆人は経験して初めて気づく

この活動のきっかけは、東日本大震災です。故郷の宮城県多賀城市で、当時5歳7歳の子どもを抱えシングルマザーになった数か月後、自宅が大規模半壊になり、2週間の避難所生活を経験しました。何の備えもしておらず、「おなかがすいた」「寒い」という子どもに何もしてやれず母として本当に後悔しました。人は痛い目にあってはじめて気づくんです。

◆災害は必ずくるもの

妹家族を頼り移住した熊本県和水町で、地域からのニーズで震災体験話をするようになり、さらに知識を深めるために防災士の資格を取得し防災啓発をしていたらおきたのが熊本地震。さらに熊本は土地柄、台風や大雨も多く、令和2年7月豪雨でも甚大な被害がありました。大災害を3度も経験したわたしにとって、「災害とは必ずくるもの」なんです。

◆伝え方に工夫と思いやりを

今、地域で、ひとり親家庭団体の会長や自主防災組織の役員、行政のまちづくりや男女共同参画委員などを務める中で、多様な人たちと接することも多く気づきがたくさんあります。誰もの心に響くように、伝え方や内容もますます工夫をするようになりました。

◆「防災」から「忘災」そして、「安心」へ

災いを完璧に防ぐことは正直難しいです。だから最近は、「防災」でなく「忘災」という言葉を使い、あの時困ったことを繰りかえさない、教訓は忘れない、備えはいつもともしもの「安心」につながると話をしています。

「しほママの安心術」・・・あなたにも聞いてほしいです♪

【柳原志保・プロフィール】

宮城県多賀城市出身、熊本県和水町在住。東日本大震災で2週間の避難所生活、移住先の熊本で熊本地震や令和2年7月豪雨と3度の大災害を経験。その教訓から得た備えをママ目線で歌を交えて伝える講演は口コミで拡がり全国600カ所、参加者4万人以上に。高校2年生の次男も防災士で親子防災士として活動中。熊本県防災会議委員、熊本県男女共同参画、人権アドバイザー務める。