第20回 「知ってほしい非常食の話」

合同会社ファンタイム「マルヤス」代表
松井 順子

はじめまして、食品ロス削減を目的としたスーパーマーケット『マルヤス』の代表、松井順子です。

この『マルヤス』は普通のスーパーマーケットではなく、今まで行き場がなく廃棄されていたような「賞味期限切れの食品」なども積極的に扱っているスーパーです。

一見、スーパーマーケットと「防災」は結び付かないような印象かもしれませんが、スーパーでは賞味期限の切れた防災備蓄用食品(以降、非常食)が入荷してくることが多くあります。そこで私は「防災」と「食品ロス」の観点から、皆様にも知っていただきたい「非常食の賞味期限」についてお話をさせていただきます。

非常食の賞味期限は、そうでない食品に比べて賞味期限が長いですよね。多くの非常食は真空パックや缶詰にして空気に触れさせないことや乾燥させることで水分をなくし品質を劣化させない工夫がされています。賞味期間が長いことでついつい放置し、気がついた時には賞味期限が切れてしまっていた…という方も多いかと思いますが、私の経験上、非常食に関しては賞味期限が切れてからも”少なくとも2年間程度”は劣化を感じない食品がほとんどです。非常食は普段目につく場所に置いていないため賞味期限を切らしてしまいがちですが、そんな時にもすぐに処分せずに一口食べてみてから判断してもらえたら嬉しく思います。経済的にも環境的にも、そして道徳的にも優しくなれますので、是非非常食にもその任務を全うさせてあげてください!

ちなみに、“ペットボトルのお水”に関しては、ボトルに記載されている賞味期限は容器を介して水が蒸発し規定量より減ってしまう目安です。お水は無機質のため劣化はしません。またペットボトルに入れられるタイミングで殺菌処理もされているため、半永久的に飲めます。古くてもペットボトルのお水なら安心して飲めますので捨てないでいただければと思います。

【松井順子・プロフィール】

食品業界で一定数の食品がいつも廃棄されていることを知り、それらの商品を廃棄せずに再流通させたいと訳ありスーパー『マルヤス』を立ち上げる。令和3年環境省「気候変動アクション環境大臣表彰」、第9回農林水産省「食品産業もったいない大賞」、「審査委員長賞受賞」。今年は都内と埼玉県の6店舗にて年間約1000tの食品ロス削減を達成見込み。