第17回 「弁理士としてジュニア防災検定の商標登録に携わって」

弁理士
辻野 彩子

はじめまして。弁理士の辻野と申します。
今回、コラムのお話を有難くいただきましたが、私は「防災」に関しては素人で、皆さまの参考になる様なお話をすることができません。

そこで、今回は、多くの人にとって、未だあまり馴染みの無い「弁理士」のお仕事についてお話ししたいと思います。

私自身、プライベートで職業を聞かれ、「弁理士です」と答えると、「弁理士って何?」とか「便利って書くの?」などと聞かれることが少なからずあります。私だけでなく、多くの弁理士が同様の経験をしていると思います。まれに「弁理士」という職業を知っている人に出会うと、感動を覚える程です。

日本弁理士会では、「弁理士」について、「知的財産に関する専門家」と表現しています。知的財産とは、発明や考案、著作物など、人間の創造的活動により生み出される知的創造物や、商標や商号など、営業の標識のことを言います。こうした知的財産について、特許権、商標権といった権利(知的財産権)を取得する手続を行ったり、取得した権利を守ったりするのが弁理士の仕事です。

私は、この知的財産の中で、商標を専門に仕事をしております。防災教育推進協会様とは、10年程前に、「ジュニア防災検定」等の商標権を取得する手続を担当させていただいて以来のご縁です。

この「ジュニア防災検定」ですが、識別力が欠如するとの指摘を特許庁より受け、登録は一筋縄では行きませんでしたが、試行錯誤の結果、無事に商標登録することができました。それ以来、登録商標として継続して使用してきたことで、今や業界においても著名な商標へと成長しました。もし、商標権を取得していなかったら、他人に模倣されても止めさせることができません。更に、模倣した他人が商標権を取得してしまった場合、先に使用していたはずの自分が、商標を使用することができなくなってしまいます。

こうした事態を未然に防ぐ為に、しっかりと商標登録をしておくことが重要で、これは「防災」と同様の考え方であると思います。

【辻野彩子・プロフィール】

大阪府出身。高校卒業後進学で東京へ。大学では知的財産とはかけ離れた政治経済を学ぶ。大学卒業後は別の仕事に就いたものの、長く働ける仕事という観点から、将来を見据えて資格取得を目指す。2009年より都内特許事務所に勤務し商標を担当、2010年に弁理士登録、2013年特定侵害訴訟代理業務付記の登録。2015年1月勤務先の特許事務所を退所後、独立し、商標専門の彩友商標特許事務所を設立して現在に至る。