設立趣意書
未曽有の大災害をもたらした東日本大震災は、私たちに多くの尊い教訓を残しました。この震災では、津波による犠牲者が地震による犠牲者を大きく上回り、子どもたちや教職員が津波の犠牲となる悲劇も生まれました。また世界を震撼させた原発災害も発生しました。
今後予想される首都直下地震や南海トラフ巨大地震をはじめ、日本列島で発生するさまざまな災害から子どもたちの命を守るためにも、いま国民の中から防災教育の推進が喫緊の課題として提起されつつあります。
これまで政府・文部科学省も防災教育の構築の実現に努めてきましたが、残念ながらいまだ十分ではない状況にあります。
現在、一般社会人に対する防災教育については、防災士制度の普及に見られる通り、一定の取り組みが民間の力により行われておりますが、子どもたちを対象にした防災知識の普及や充実を図る仕組みや制度はありません。
そこで私たちは、これら社会の付託に応えるために、災害に備え子どもたちが自分の命を守るための具体策として、教育・防災・報道の各界の有志が連携して防災検定協会を設立することとし、それを基盤としてジュニア防災検定事業を強力に推進することと致しました。
私たちの進めるジュニア防災検定により培われた子どもたちは、将来、日本の国土の安全と安心に寄与する人材となり、更なる後進の指導に当たることにより日本の防災力は着実に強化されていくものと信じております。
本事業を通じて、子どもたちが防災と減災に深い関心を持ち、意識を高めることができれば、幾多の災害による悲劇を繰り返すことなく、災害時の犠牲の極小化に資するものと確信しております。
理事長あいさつ
「天災(災害)は忘れたころにやってくる」という寺田寅彦が残した警句があります。平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)以降、ほぼ毎年のように日本列島のどこかで甚大な被害を伴う災害が発生しており、近年は「天災は忘れる前にやってくる」という状態です。まさに災害と隣り合わせで暮らしているといっても過言でありません。一方で、災害は人間の力で防ぐことはできませんが、事前の備えや対策によって、被害を軽減(減災)することは可能です。
このような状況のなかで、東日本大震災以降、防災教育の必要性が叫ばれるようになりました。同時に学校だけでは防災教育を十分に行うことができない(防災指導をする教員の不在)とう声を受け、民間の立場から防災教育に取り組む団体として、マスコミ界・経済界・教育界・研究機関の関係者が集まって平成25年に誕生したのが一般財団法人防災検定協会(現・防災教育推進協会)です。
防災教育推進協会で行っている防災教育の基本は、子供の段階から生きる力を身に付けさせることです。言い方を変えれば「自分の命は自分で守る」とう自助の能力を養うことです。学校での防災教育はどちらというと受け身的な教育であり、子供たちが能動的に取り組む仕組みになっていませんでした。この課題を解消するため、同協会では小中学生を対象に初級・中級・上級の3つのレベルで受検が可能な「ジュニア防災検定」という防災教育プログラムを提供しています。
ジュニア防災検定を受検した子供たちのなかには、その後、高校生以上を対象にした「防災検定」にも挑戦し、将来の防災人材を目指して頑張っている子供たちもいます。現在、防災検定は高校生や大学生だけでなく、社会人を中心に幅広い層が挑戦しています。特に防災検定の1級は、筆記試験(小論文)と面接を実施し、合格後は防災に関する指導者として活動できる内容を問うレベルとなっています。
ジュニア防災検定は、漢字検定や英語検定のように高校入試などの内申書の加点対象とはなっていませんが、人間力の形成には大きく役立つ検定であり、災害大国・日本で生きていくための防災力を高まるツールとしても活用できます。
一方、ジュニア防災検定だけでは子供たちの防災力を高めることはできません。学校現場で、防災について正しい指導や教育をすることができる人材(教師)を増やす取り組みも必要です。防災を教科にすることも必要でしょう。
また、日本全国で防災寺子屋(防災出前授業)を展開し、学校や子供会、消防団(少年消防クラブも含む)、地域の防災組織、企業・団体に数多くの講師を派遣しています。
最後に、「継続は力なり」という諺がありましが、防災力は継続することが重要な要素となります。一人ひとりの国民が防災力を継続していくことが、日本全体の防災力の強化に繋がると確信しています。
略歴
昭和43(1668)年、熊本県生まれ。
学歴
- 防衛大学校材料物性工学科卒
- 日本大学大学院総合社会情報研究科修士課程修了
- 名古屋大学大学院環境学研究科博士課程単位取得満期退学
所属職歴
- 防衛庁陸上自衛隊
- 元首相秘書
- 日本政策研究センター研究員
- 栃木市首席政策監(防災・危機管理担当兼務)
- 日本防災士機構理事
- 一般財団法人防災教育推進協会常務理事・事務局長
現所属先役職
- 拓殖大学地方政治行政研究所特任教授・防災教育研究センター長
- 日本大学法学部公共政策学科非常勤講師(消防政策)
- 東日本国際大学健康社会戦略研究所客員教授
- 日本航空学園理事長室アドバイザー兼特別講師
- 国立研究開発法人防災科学技術研究所客員研究員
- 稲むらの火の館(濱口梧陵記念館・津波防災教育センター)客員研究員
- 日本危機管理学会理事
- 日本CBRNE学会理事
- 政策研究フォーラム理事
- 産経新聞社「正論」執筆メンバー
受賞歴
- 令和6年5月に日本危機管理学会「学術貢献賞」を受賞
役員名簿
役職 | 氏名 | 所属等 |
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理事長 | 濱口 和久 | 拓殖大学地方政治行政研究所特任教授・同大学防災教育研究センター長 |
副理事長 | 伊藤 和明 | 防災情報機構NPO法人会長 元NHK解説委員 |
副理事長 | 岩瀬 正司 | 元全日本中学校長会会長 公益財団法人全国修学旅行研究協会理事長 |
専務理事 | 佐藤 正弘 | 元日本大学監事 |
常務理事 | 秦 好子 | 元神奈川県横浜市消防局消防監 社会貢献学会理事 |
理事 | 岩永 正雄 | 元株式会社JTBワールドバケーションズ執行役員 |
理事 | 宇田 英弘 | 元全国連合小学校長会庶務部長 学習と生活の教室ペガサス指導責任者 |
理事 | 菊池 清広 | 株式会社教育家庭新聞社取締役 |
理事 | 木原 実 | 日本テレビ報道局「news every.」担当お天気キャスター・気象予報士 |
理事 | 甲原 洋 | 株式会社学研執行役員・教育ソリューション事業本部副本部長 |
理事 | 中曽根 高志 | 公益財団法人彫刻の森芸術文化財団事務局長代行 |
理事 | 乗田 俊明 | 明治安田生命顧問 元空港施設株式会社代表取締社長 |
理事 | 笛木 啓介 | 東京都大田区大森第三中学校校長 |
理事 | 藤浦 淳 | 大阪大学総合学術博物館研究員 元産経新聞社大阪本社夕刊編集長 |
理事 | 森 忠彦 | 毎日新聞社編集委員 元毎日小学生新聞編集長 |
理事 | 山下 博之 | 日本大学危機管理学部准教授 |
監事 | 濱川 久子 | 税理士 |
監事 | 平山 正剛 | 弁護士 元日本弁護士連合会会長 |
評議員 | 青山 佾 | 元東京都副知事 明治大学名誉教授 一般社団法人都市調査会代表 |
評議員 | 池田 健三郎 | 経済アナリスト・共同PR総合研究所所長 |
評議員 | 梅原 克彦 | 元国際教養大学教授 元仙台市長 |
評議員 | 小畑 宏介 | 公益社団法人日本青年会議所第62代会頭 |
評議員 | 金子 一也 | 鈴鹿享栄学園理事・鈴鹿大学教授 |
評議員 | 湖中 謙介 | 株式会社コナカ代表取締役社長 |
評議員 | 齋藤 勉 | 元産経新聞社副社長 |
評議員 | 杉山 達郎 | 元株式会社日本経済社メディア本部テレビ・ラジオ局長 |
評議員 | 高木 幹夫 | 日能研代表 一般社団法人RQ災害教育センター理事 |
評議員 | 福田 勝幸 | 前拓殖大学理事長 |
評議員 | 益子 邦洋 | 医療法人社団永生会南多摩病院長 日本医科大学名誉教授 |
評議員 | 松井 一洋 | 広島経済大学名誉教授 |
評議員 | 元谷 芙美子 | アパホテル株式会社取締役社長 |
顧問 | 尾池 和夫 | 元京都大学総長 |
顧問 | 河野 英一 | 日本大学名誉教授 元日本大学副学長 |
顧問 | 斎尾 親徳 | 元日本郵便株式会社代表取締役副社長 公益財団法人通信文化協会理事長 |
顧問 | 深田 大介 | 前日本大学豊山高等学校中学校校長 |
顧問 | 山岡 耕春 | 前理事長 元日本地震学会会長 名古屋大学名誉教授 |